新興国株に投資する方法として、
新興国ETFを選ぶ人は少なくありません。
- 分散されていて安全そう
- 個別株よりリスクが低そう
- 指数に連動するから長期で安心
こうしたイメージを持たれがちです。
しかし現実には、
- 指数は上がっているのに資産は増えない
- 長期で保有したが成果が出ない
- 米国ETFとの差が広がる一方
といった結果になることも多く見られます。
新興国ETFが期待通りに機能しないのは、
運やタイミングの問題ではありません。
ETFという商品が持つ構造的な特性によるものです。
この記事では、新興国ETFが
「指数通りに儲からない」理由を、
商品レベルで整理します。
「指数に連動する=儲かる」という誤解
指数と投資家リターンは同じではない
ETFが連動する「指数」は、
理論上の数値です。
一方、投資家が得るリターンには、
- 為替
- 信託報酬
- 売買コスト
- 税金
といった現実の要素が加わります。
その結果、
指数と実際の投資成果にはズレが生まれます。
分散されている=リスクが消えるわけではない
新興国ETFは多くの国・企業に分散されています。
ただしそれは、
「リスクが消える」という意味ではありません。
- 同じ性質のリスク
- 同じタイミングで起きる下落
が集まっているだけ、という場合もあります。
為替がETFリターンを削る仕組み
ETFでも為替の影響は避けられない
新興国ETFであっても、
- 現地通貨 → 円
という変換は必ず発生します。
②の記事で見た通り、
新興国株のリターンは為替に大きく左右されます。
ETFだからといって、
この問題が解消されるわけではありません。
為替ヘッジ付きETFの限界
為替ヘッジ付きETFも存在しますが、
- ヘッジコスト
- 金利差
- 運用効率の低下
といった要因がリターンを圧迫します。
特に新興国では、
ヘッジコストが高くなりやすいため、
長期では期待通りに機能しないケースもあります。
指数構成そのものがリターンを抑える
国有企業・金融機関の比率が高い
新興国指数には、
- 国有企業
- 規制の強い業種
- 金融機関
が多く含まれています。
これらは必ずしも、
- 高成長
- 高収益
と相性が良いとは限りません。
時価総額加重の弱点
多くの新興国ETFは
時価総額加重型指数に連動しています。
この仕組みでは、
- すでに大きくなった企業ほど比率が高くなる
- 割高になった後に組み入れ比率が増える
という特徴があります。
結果として、
成長の初期段階を取り込みにくい構造になります。
国の成長と指数の成長は一致しない
新興国ETFを買うと、
- 国の成長
- 人口増加
に投資しているような気になります。
しかし実際には、
GDP成長と株価指数は別物です。
国が成長しても、
その果実が指数に反映されるとは限りません。
コストが長期リターンを静かに削る
信託報酬は想像以上に重い
新興国ETFの信託報酬は、
- 年0.5〜1.0%程度
が一般的です。
この差は、
短期では小さく見えても、
長期では無視できません。
売買コスト・流動性の問題
- スプレッド
- 出来高の少なさ
といった要素も、
実質的なコストになります。
特に市場が不安定なときほど、
これらの影響は大きくなります。
なぜ長期保有ほど期待とズレるのか
停滞期間が長くなりやすい
新興国ETFでは、
- 数年単位でほとんど動かない
- 下落後に戻らない
といった期間が珍しくありません。
複利が効きにくい構造
- 為替
- コスト
- 成長率の低さ
これらが重なることで、
複利効果が発揮されにくいのです。
米国ETFとの比較で失望が生まれる
同じETFでも、
- 米国ETFは堅調
- 新興国ETFは低迷
という状況が続くと、
保有を続ける心理的ハードルは高くなります。
それでも新興国ETFを使うなら
新興国ETFは成長投資ではない
新興国ETFは、
- 高リターンを狙う商品
ではなく、 - 分散・補助的な役割
として考える方が現実的です。
保有期間と期待値を下げておく
- 数年単位で評価
- 上がったら見直す
といった姿勢が向いています。
比率を抑えて使う
新興国ETFは、
ポートフォリオの一部に留めることで、
心理的な負担も軽減されます。
この点は、
⑤「新興国株は何%までが妥当か」で詳しく整理します。
まとめ
新興国ETFが
指数通りに儲からないのは珍しいことではありません。
その理由は、
- 為替
- 指数構成
- コスト
- 市場構造
といった、ETF固有の構造にあります。
これらを理解せずに使うと、
期待と現実のズレに悩まされます。
一方で、
役割を限定して使えば、
新興国ETFは「扱える道具」になります。
次の記事では、
新興国株をポートフォリオの中で何%まで組み込むのが現実的かを、
具体的に整理します。
