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③新興国株で「長期投資」がうまくいかない本当の理由

新興国株投資について調べると、
「長期で持てば報われる」
「成長国なのだから時間を味方につけるべき」
といった説明をよく目にします。

しかし実際には、

  • 5年、10年と保有しても成果が出ない
  • 含み損の期間が非常に長い
  • 米国株との差が広がる一方

という経験をした投資家も多いはずです。

新興国株で長期投資がうまくいかないのは、
我慢が足りないからでも、投資姿勢が間違っているからでもありません。
そもそも、長期投資が機能する前提条件が米国株とは違うのです。

この記事では、新興国株で「長期投資」が難しくなりやすい理由を、
精神論ではなく構造と時間軸から整理します。


目次

そもそも「長期投資」が成立する条件とは

長期投資が機能する市場の共通点

長期投資が比較的うまく機能してきた市場には、
いくつかの共通点があります。

  • 企業利益が継続的に成長する
  • 成長の果実が株主に還元される
  • 資本市場のルールが安定している

こうした条件が揃うことで、
「時間をかける=リターンが積み上がる」構造が成立します。

米国株で長期投資が機能してきた理由

米国株市場では、

  • 利益成長
  • 配当や自社株買い
  • 株主重視のガバナンス

が比較的明確です。

そのため、
長期で保有することで複利が効きやすい環境が整ってきました。

この成功体験が、
新興国株にも当てはまると考えられがちです。


新興国株で長期投資が難しくなる構造

成長の果実が株主に届きにくい

新興国では、経済が成長していても、

  • 国策や雇用が優先される
  • 国有企業の比率が高い
  • 株主還元が限定的

といった理由から、
企業利益の成長が株主価値に直結しにくい場合があります。

GDPは伸びているのに、
株価指数は伸び悩む、という現象が起きやすいのです。

利益が再投資・還元されにくい

米国企業では一般的な、

  • 高い資本効率
  • 積極的な株主還元

は、新興国市場では必ずしも当たり前ではありません。

結果として、
時間をかけても複利が効きにくい構造になります。


時間が経つほど不利になる要因

インフレが実質リターンを削る

新興国は高成長と同時に、
高インフレになりやすい傾向があります。

名目上は成長していても、

  • 実質購買力
  • 実質リターン

は思ったほど増えていない、ということが起きます。

長期で見た場合、
このインフレは複利効果を静かに削っていきます。

通貨安の影響が積み重なる

②の記事で触れた通り、
新興国株のリターンは為替の影響を強く受けます

短期的には偶然に見える為替変動も、
長期では傾向として表れやすくなります。

  • 株価は横ばい
  • 通貨は緩やかに下落

この組み合わせは、
長期投資ほど投資家に不利です。

指数が戻らない期間は珍しくない

新興国株では、

  • 5年
  • 10年

指数がほとんど回復しない期間が存在することもあります。

米国株のように
「待てばいずれ最高値を更新する」
という前提は、必ずしも成立しません。


長期投資がうまくいかない最大の理由は「人間側」にある

含み損の期間が長すぎる

新興国株の問題は、
下落幅よりも停滞期間の長さにあります。

  • 売る判断もできない
  • 買い増す判断もできない

結果として、
心理的に最もつらい状態が長く続きます。

米国株との比較がストレスになる

同じ期間に、

  • 米国株は堅調
  • 新興国株は低迷

という状況が続くと、
機会損失への後悔が生まれます。

これは投資判断を鈍らせる大きな要因です。

「信じ続ける理由」が薄れていく

長期投資には、
「なぜ持ち続けるのか」という納得感が必要です。

新興国株では、

  • 成長ストーリーが変わる
  • 情報が減る
  • 市場への関心が薄れる

ことで、
保有を正当化する理由が失われやすくなります。


それでも新興国株を長期で持つなら必要な前提

期待リターンを下げておく

新興国株を長期で保有するなら、
最初から過度な期待を持たないことが重要です。

米国株と同じ成果を求めると、
ほぼ確実に失望します。

ポートフォリオ内の役割を限定する

新興国株は、

として位置づける方が現実的です。

この考え方は、
④(ETF)や⑤(割合)の記事につながります。

「持ち続ける」ではなく「付き合い続ける」

長期保有=放置、ではありません。

  • 定期的な見直し
  • 環境変化への対応
  • 売却も選択肢に入れる

こうした姿勢が、新興国株では重要です。


新興国株に向いている現実的な時間軸

永久保有は前提にしない

新興国株では、
期限を決めない長期投資はリスクが高くなります。

中期(数年)での管理が現実的

  • 数年単位で評価
  • 想定とズレたら調整

このように、
管理しながら付き合う方が合理的です。


まとめ

新興国株で長期投資がうまくいかないのは、
珍しいことではありません。

  • 市場構造
  • インフレ
  • 為替
  • 人間の心理

これらが重なり、
「時間を味方につける投資」が成立しにくいからです。

構造を理解したうえで使えば、
新興国株は危険な資産ではありません。

次の記事では、
新興国ETFがなぜ指数通りに儲からないのかを、
商品レベルで整理します。

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この記事を書いた人

はじめまして。
当ブログ 「米国株投資の次に考える新興国株」 を運営しているイダウユです。
本業では、製造業で20年以上、経理・財務の仕事に携わってきました。
日々、企業の決算、資金繰り、投資判断、リスク管理と向き合う立場にあります。
個人としての投資歴は20年以上で、米国株を中心に、新興国株・ETF・為替を含めた分散投資を続けています。
株式投資、FX、先物取引に手を出して、結局株式投資に落ち着きました。

米国株投資は、多くの日本人投資家にとって最も再現性の高い投資手法だと感じています。

一方で、ある程度投資を続けていくと、
米国株だけで本当に良いのか
新興国株はどこまで組み入れるべきか
成長性が高いと言われる国に投資する意味はあるのか
といった疑問を持つようになります。

私自身も、そうした問いを持ちながら
新興国株投資で思うような成果が出なかった経験があります。

そこで気づいたのは、
新興国株投資は「知識」や「我慢」の問題ではなく、
構造を理解せずに使うと失敗しやすい投資だということでした。

このブログでは、
爆益を狙う話
将来性だけを強調する話
誰にでも当てはまる「正解」
は扱いません。

代わりに、
なぜ新興国株は期待通りにいかないことが多いのか
米国株と何が決定的に違うのか
ポートフォリオの中でどんな役割を持たせるべきか
といった点を、数字と構造を中心に整理しています。

新興国株は、
主役にすると難しく、脇役として使うと意味が出る資産だと考えています。

投資スタンスについて
投資判断はすべて自己責任
特定の銘柄・商品を強く推奨することはありません
期待リターンよりも「想定外に耐えられるか」を重視します
このブログの内容は、
特定の投資行動を勧誘するものではなく、
判断材料を整理するための情報提供を目的としています。

このブログが役立つ方
米国株投資をすでに実践している方
新興国株に興味はあるが、踏み切れずにいる方
過去に新興国株でうまくいかなかった経験がある方
投資を「夢」ではなく「設計」として考えたい方

そうした方にとって、
冷静に考えるための視点を提供できれば幸いです。

(免責事項)
当ブログは、投資に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、
特定の金融商品・投資行動を推奨するものではありません。
投資判断はご自身の責任において行ってください。

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