新興国株投資と聞くと、
「人口が増えている」「経済成長率が高い」「将来性がある」
といった前向きな言葉が並びます。
一方で、実際に投資してみると、
- 数年持ってもリターンが出ない
- 株価指数は上がっているのに資産は増えていない
- 米国株との差がどんどん開いていく
こうした違和感を持った人も多いのではないでしょうか。
新興国株投資が難しいのは、
投資家の我慢が足りないからでも、勉強不足だからでもありません。
そもそも、米国株とは構造がまったく違う市場だからです。
この記事では、新興国株投資がなぜ難しくなりやすいのかを、
米国株との比較を通して整理します。
新興国株が「難しい投資」になりやすい理由
高成長=高リターンとは限らない
新興国はGDP成長率が高い国が多く、
「経済が成長すれば株価も上がる」と考えがちです。
しかし、GDP成長と株式リターンは一致しません。
- 成長の恩恵が企業利益に反映されない
- 利益が出ても株主に還元されない
- 規制や国策が優先される
こうした要因によって、
国は成長しているのに、株主は報われない状況が生まれます。
米国株と同じ感覚で投資すると失敗する
米国株投資では、
- 長期保有
- 複利
- 企業利益の成長
が比較的素直に機能してきました。
その成功体験をそのまま新興国株に当てはめると、
「思ったように増えない」という結果になりやすいのです。
米国株と新興国株の決定的な構造差
企業の収益構造が違う
米国企業は、
- グローバルに事業展開
- 高い価格決定力
- 利益を重視した経営
を行っているケースが多く、
経済成長が企業利益に直結しやすい構造があります。
一方、新興国企業は、
- 国内市場依存
- 政府・規制の影響が大きい
- 国有企業の比率が高い
といった特徴があり、
利益成長が株主価値に結びつきにくい場合があります。
資本市場の成熟度が違う
米国では、
- 株主還元
- 資本効率
- ガバナンス
が重視されてきました。
新興国では、
「株主よりも国策や雇用が優先される」ケースも珍しくありません。
この違いは、長期投資の結果に大きく影響します。
為替がリターンに与える影響が大きい
新興国株投資では、
株価だけでなく為替の影響を強く受けます。
株価が上昇しても、
- 現地通貨安
- 円高
が重なると、円ベースのリターンは相殺されてしまいます。
この点は、基軸通貨である米ドル建ての米国株とは大きく異なります。
新興国株が長期投資に向きにくい理由
インフレと通貨安がリターンを削る
新興国は高成長と同時に、
- 高インフレ
- 通貨安
が起きやすい傾向があります。
結果として、
名目成長が実質リターンに残りにくいのです。
政治・制度変更が予測しにくい
- 税制変更
- 規制強化
- 国有化リスク
など、投資家がコントロールできない要素が多いのも特徴です。
指数が長期間停滞することは珍しくない
新興国株では、
- 5年
- 10年
指数がほぼ動かない期間が存在することもあります。
米国株のように
「時間を味方につける」投資が機能しにくい理由の一つです。
それでも新興国株に投資する意味はあるのか?
ここまで読むと、
「新興国株には投資しない方がいいのでは」と感じるかもしれません。
しかし、新興国株投資を完全に否定する必要はありません。
重要なのは、役割の再定義です。
新興国株は成長投資ではなく分散投資
新興国株は、
- 高リターンを狙う主役
ではなく、 - 米国株中心のポートフォリオを補助する存在
として位置づける方が現実的です。
米国株とは異なる値動きをする可能性
局面によっては、
米国株と異なる動きをすることもあり、
分散効果を期待する余地はあります。
新興国株投資で最初に持つべき考え方
新興国株はコア資産にしない
一般的には、
ポートフォリオの一部に限定する方が精神的にも安定します。
期待リターンを最初に下げておく
「夢」を見すぎないことが、
新興国株投資と長く付き合うコツです。
米国株との役割分担を明確にする
- 成長:米国株
- 補助・分散:新興国株
この整理ができていれば、
新興国株の値動きにも冷静でいられます。
まとめ
新興国株投資が難しいのは、
投資家の能力の問題ではありません。
- 市場構造
- 通貨
- 資本市場の成熟度
こうした前提が、米国株とは大きく異なるからです。
構造を理解したうえで使えば、
新興国株は「危険な投資」ではなく
扱えるリスク資産になります。
次の記事では、
新興国株のリターンがなぜ為替に大きく左右されるのかを、
もう少し具体的に掘り下げます。
