新興国株に投資していて、
こんな経験はないでしょうか。
- 指数は上がっているのに、資産は増えていない
- 数年保有したが、思ったほどリターンが出ていない
- 「タイミングが悪かっただけ」と感じている
しかし、その原因は運や我慢不足ではない可能性があります。
新興国株投資では、株価以上に「為替」がリターンを左右するからです。
この記事では、
なぜ新興国株のリターンが株価より為替に大きく影響されるのかを、
構造として整理します。
新興国株のリターンは2つの要素で決まる
株価リターン(現地通貨ベース)
まず一つ目は、
現地通貨ベースでの株価の値動きです。
これは、
- 経済成長
- 企業利益
- 株式市場の評価
といった要素によって決まります。
多くの投資家は、ここに注目しています。
為替リターン(投資家の実リターン)
もう一つが、為替の影響です。
日本の投資家が新興国株に投資する場合、
- 現地通貨 → 円
という変換が必ず発生します。
つまり、
株価が上がっても、通貨が下がればリターンは相殺されます。
新興国株投資の実際の成績は、
この「株価+為替」の合計で決まります。
なぜ新興国では為替の影響が大きくなるのか
高成長国ほど通貨が不安定になりやすい
新興国は、
- 高い経済成長率
- 人口増加
- 投資需要の拡大
といった魅力を持っています。
一方で、
- 経常収支が不安定
- 海外資本への依存度が高い
- インフレが起きやすい
といった特徴もあります。
その結果、
通貨の価値が安定しにくいのです。
新興国通貨はリスクオフ時に売られやすい
世界的に不安が高まる局面では、
- 資金は安全資産へ
- 米ドルや円が買われ
- 新興国通貨は売られる
という動きが起きやすくなります。
新興国株は、
株価下落と通貨安が同時に起こるケースも珍しくありません。
株価が上がっても報われない仕組み
株価上昇+通貨安の組み合わせ
例えば、
- 現地株価:+10%
- 現地通貨:−10%
この場合、
円ベースのリターンはほぼゼロになります。
指数を見ると「成功」に見えても、
投資家の資産は増えていない、という現象が起こります。
長期では為替の影響が積み重なる
短期的な為替変動は偶然に見えますが、
長期では傾向が出やすくなります。
- 高インフレ国の通貨は
実質的に価値が下がりやすい - 成長と同時に通貨安が進むケースも多い
結果として、
株価の成長が為替によって削られ続ける構造になります。
米国株と新興国株で為替の意味が違う理由
米国株は基軸通貨建て
米国株は、
世界の基軸通貨である米ドル建てです。
- 危機時に資金が集まりやすい
- ドル高が追い風になることも多い
つまり、
為替が味方になるケースが多いのが米国株です。
新興国株は資金の「通過点」
新興国市場は、
- 好況時に資金が流入
- 不況時に一気に流出
しやすい特徴があります。
そのため、
新興国通貨は安定資産として扱われにくいのです。
同じ「海外株」でも、
為替の性質はまったく異なります。
為替ヘッジは解決策になるのか
為替ヘッジにはコストがかかる
為替ヘッジ付き商品は、
- ヘッジコスト
- 金利差
- 運用効率の低下
といった問題があります。
特に新興国では、
ヘッジコストが高くなりやすい傾向があります。
為替ヘッジは万能ではない
- 長期ではコストが積み重なる
- 通貨安リスクは消せても、
株価下落リスクは残る
結果として、
期待したほどリターンが改善しないこともあります。
為替を前提にした新興国株との付き合い方
為替で儲けようとしない
新興国株投資では、
為替は「予測する対象」ではなく、
管理する前提条件として考える方が現実的です。
新興国株の比率を抑える理由は為替にある
為替変動の大きさを考えると、
新興国株をポートフォリオの中心に据えるのは、
精神的にも難しくなります。
新興国株は、
あくまで補助的な位置づけが適しています。
米国株との組み合わせが重要
- 成長と安定:米国株
- 分散と補助:新興国株
この役割分担を意識することで、
為替変動にも冷静でいられます。
まとめ
新興国株のリターンは、
株価だけを見ていても判断できません。
- 株価
- 為替
この2つが同時に作用します。
多くの場合、
新興国株の足を引っ張るのは為替です。
だからこそ、
- 過度な期待をしない
- 比率を抑える
- 米国株中心で設計する
こうした前提が重要になります。
次の記事では、
新興国株で「長期投資」がうまくいかない理由を、
時間軸の観点から整理します。
