新興国株をポートフォリオに組み入れる理由として、
最もよく挙げられるのが**「分散になるから」**という説明です。
- 米国株だけでは不安
- 成長国に分散したい
- 何かあったときの保険
こうした考え方自体は自然です。
しかし、ここで一度立ち止まって考える必要があります。
新興国株は、本当に米国株の分散になっているのでしょうか。
この記事では、
新興国株が分散として機能する条件と、
機能しにくい現実的な理由を整理します。
分散投資とは、そもそも何を分散しているのか
分散投資の本質は「値動きの違い」
分散投資とは、
- 国を分けること
- 商品を増やすこと
自体が目的ではありません。
本質は、
値動きの異なる資産を組み合わせることです。
- 片方が下がるとき
- もう片方は下がらない、または上がる
この関係があって初めて、
分散の効果が生まれます。
「海外=分散」ではない
米国株と新興国株は、
- 国も違う
- 経済段階も違う
ため、
分散しているように見えます。
しかし、
資金の出入りという観点では、同じリスク要因に左右される
ことが少なくありません。
新興国株と米国株の相関は本当に低いのか
平常時はそれなりに違って見える
相場が安定している局面では、
- 米国株が緩やかに上昇
- 新興国株が出遅れる、または独自に動く
といった場面も見られます。
このときは、
「分散できている」と感じやすいでしょう。
問題は「リスクオフ局面」
しかし、投資で本当に重要なのは
相場が荒れたときです。
- 金融不安
- 金利急変
- 地政学リスク
こうした局面では、
- 米国株:下落
- 新興国株:より大きく下落
という動きが起こりやすくなります。
つまり、
下落のタイミングは同じで、幅だけが違う
というケースが多いのです。
なぜ新興国株は分散として機能しにくいのか
資金の出どころは同じ
グローバル市場では、
- 機関投資家
- ファンド
- 国際的な資本
が、新興国市場にも投資しています。
リスクが高まると、
- 資金は一斉に引き上げられ
- 安全資産へ移動
します。
その結果、
米国株と新興国株が同時に売られる
という現象が起きます。
為替が同時に動く
新興国株では、
株価下落と同時に通貨安が進みやすくなります。
- 株価下落
- 為替下落
が重なることで、
円ベースの下落幅はさらに大きくなります。
この点は、
②「為替」の記事で整理した通りです。
「分散にならない」わけではない
ここまで読むと、
新興国株は分散として意味がないのでは?
と感じるかもしれません。
しかし、
完全に無意味というわけではありません。
分散として機能しやすい条件
新興国株が分散として機能しやすいのは、
- 比率が小さい
- ポートフォリオの補助的位置づけ
- 長期で見た値動きの違いを許容できる
こうした条件が揃った場合です。
「主役」にすると分散が壊れる
一方で、
- 新興国株の比率が高い
- 成長期待を過度にかける
と、
分散ではなくリスクの集中になりがちです。
新興国株は「完全な分散先」ではない
重要なのは、
新興国株を過大評価しないことです。
- 米国株の代替
- 下落時の保険
として考えると、
期待外れになりやすい資産です。
新興国株は、
- 米国株と異なる値動きをすることもある
- しかし、危機時には同時に下がる
この両面を持つ資産だと理解する必要があります。
それでも新興国株を組み入れる意味
分散の「質」を高める補助として
新興国株は、
- 株式内での地域分散
- 成長ドライバーの一部
として使うと、
一定の意味を持ちます。
ただし、
それは限定的な役割です。
比率管理がすべてを決める
新興国株が、
- 分散になるか
- リスクになるか
は、
どれくらいの割合で持つかによって決まります。
この点は、
⑤「新興国株は何%までが妥当か」で
最終的な考え方を整理しています。
まとめ
新興国株は、
- 分散になる側面
- 分散にならない側面
の両方を持っています。
重要なのは、
- 「分散になるはず」と信じ込まないこと
- 値動きの性質を理解すること
です。
新興国株は、
米国株の代わりではありません。
あくまで、
米国株中心のポートフォリオを補助する存在
として扱うことで、
はじめて意味を持ちます。
次の記事では、
新興国株は積立投資に向いているのか?
という疑問を整理していきます。
