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【入門】最近よく聞く「ROIC」って何? 経理責任者がどこよりも分かりやすく紐解いてみた

最近、ビジネスニュースや社内の経営方針発表などで、「ROIC(ロイック)」という言葉を耳にする機会がグッと増えた、という方は多いのではないでしょうか。

「東証の要請で、我が社もROICを導入することになった」

「経営陣から、これからはROICを意識しろと言われた」

バックオフィスにいると、急に降ってきたこの横文字に戸惑うこともあるかもしれません。教科書を開くと「投下資本利益率」なんていう難しい漢字が並んでいて、それだけでブラウザを閉じたくなってしまいますよね。

でも、安心してください。ROICの本質は、実は私たちが日常生活でやっている「お買い物」や「投資」の感覚とまったく同じです。

今回は、20年以上数字と向き合ってきた経理責任者の視点から、難しい専門用語をできるだけ使わずに、ROICの「これだけ知っておけば大丈夫」という基本を分かりやすくシェアします。

目次

ズバリ、ROICとは「いくら投資して、いくら儲かったか」

ROICは、英語の Return on Invested Capital の頭文字を取ったもので、日本語では「投下資本利益率」と呼びます。

これだと難しく聞こえますが、要するに「事業のために集めてきたお金(投下資本)を使って、どれだけ効率よく利益(リターン)を生み出せたか」を測る指標です。

一番シンプルな数式で表すと、以下のようになります。

ROIC(ロイック) = NOPAT(税引後営業利益) ÷ 投下資本(事業に使っているお金)

※「NOPAT」や「投下資本」の中身については、今回は「本業で稼いだ利益」と「事業のために使っているお金」くらいに、ざっくり捉えておくだけで十分です。

身近な例で考えてみる

例えば、あなたが一万円を使って、フリーマーケットで古着を仕入れて売るビジネスを始めたとします。

  • Aさん: 10万円の元手(投下資本)を使って、1万円の利益を出した。
  • Bさん: 2万円の元手(投下資本)を使って、1万円の利益を出した。

出た「利益の額」はどちらも同じ1万円ですが、どちらのビジネスが「上手(効率的)」でしょうか?

当然、少ない元手で同じ利益を出したBさんですよね。

この「お金の使い方の効率の良さ」を数値化して、会社全体や事業部ごとに評価できるようにしたのがROICです。

ちなみに、この場合のROICを計算してみると、

  • AさんのROIC = 1万円 ÷ 10万円 = 10%
  • BさんのROIC = 1万円 ÷ 2万円 = 50%

となり、Bさんの方が圧倒的に投資効率が良いことが数字で一目瞭然になります。

なぜ今、多くの企業が「売上」ではなく「ROIC」に注目するのか?

これまでの日本の多くの企業は、「売上高」や「営業利益」といった「額」を大きくすることを重視してきました。

しかし、額だけを見ていると、ある重大な盲点を見落としてしまうのです。

例えば、「売上100億円、利益10億円」を稼ぎ出す2つの事業部があるとします。一見、どちらも同じくらい優秀に見えますよね。

しかし、その裏側(バランスシート)を覗いてみると、

  • 第一事業部: 10億円の機材と在庫(投下資本)で、10億円の利益を出した( ROIC = 100% )。
  • 第二事業部: 100億円もの巨額の工場設備と大量の在庫(投下資本)を使って、ようやく10億円の利益を出した( ROIC = 10% )。

もしあなたが経営陣なら、次に新しい投資をする予算があるとき、どちらの事業部にそのお金を預けたいと思うでしょうか。これも間違いなく、少ない資本で効率よく稼いでくれる第一事業部ですよね。

東証が今、上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営をしてください」と強く求めているのは、まさにここです。「ただ利益の額を追うだけでなく、株主や銀行から預かった大切なお金を、どれだけ効率的に使って価値を生み出しているのか、その『効率性』をちゃんと見なさい」というメッセージなのです。

まとめ:ROICは「経営の健康診断書」

ROICという指標を取り入れることで、会社は「筋肉質な経営(少ない資本で大きく稼ぐ体質)」になっているかどうかをチェックできるようになります。

  • 売上や利益(PL)だけを見る: 体重や身長(サイズ)だけを測っている状態。
  • ROICを見る: 体脂肪率や筋肉量(中身の健康状態)まで見ている状態。

こう考えると、少し身近に感じられないでしょうか。

バックオフィスで働く私たちにとっても、この「効率性(ROIC)」の視点を持つことで、普段処理している在庫のデータや、未回収の売掛金が、いかに会社の経営効率に直結しているのかが見えるようになり、日々の数字の景色が少し変わってきます。

次回予告:でも、現場にどうやって説明すればいいの?

「ROICの意味は分かった。でも、これをうちの営業部や製造部の現場の人たちに説明しても、誰もピンとこないし、動いてくれないんだよね……」

実務でROICを導入しようとすると、必ずこの「現場の壁」にぶち当たります。

そこで次回の記事では、教科書通りにいかない実務の修羅場をくぐってきた私の経験をもとに、「現場の人間が明日から自発的に動き出すための、ROIC逆ツリーの超・具体策」について詳しくお話しします。

日常の業務にちょっとした「視点の変化」をプラスして、経理という仕事をもう少し面白くしていきましょう。

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この記事を書いた人

はじめまして。
当ブログ 「米国株投資の次に考える新興国株」 を運営しているイダウユです。
本業では、製造業で20年以上、経理・財務の仕事に携わってきました。
日々、企業の決算、資金繰り、投資判断、リスク管理と向き合う立場にあります。
個人としての投資歴は20年以上で、米国株を中心に、新興国株・ETF・為替を含めた分散投資を続けています。
株式投資、FX、先物取引に手を出して、結局株式投資に落ち着きました。

米国株投資は、多くの日本人投資家にとって最も再現性の高い投資手法だと感じています。

一方で、ある程度投資を続けていくと、
米国株だけで本当に良いのか
新興国株はどこまで組み入れるべきか
成長性が高いと言われる国に投資する意味はあるのか
といった疑問を持つようになります。

私自身も、そうした問いを持ちながら
新興国株投資で思うような成果が出なかった経験があります。

そこで気づいたのは、
新興国株投資は「知識」や「我慢」の問題ではなく、
構造を理解せずに使うと失敗しやすい投資だということでした。

このブログでは、
爆益を狙う話
将来性だけを強調する話
誰にでも当てはまる「正解」
は扱いません。

代わりに、
なぜ新興国株は期待通りにいかないことが多いのか
米国株と何が決定的に違うのか
ポートフォリオの中でどんな役割を持たせるべきか
といった点を、数字と構造を中心に整理しています。

新興国株は、
主役にすると難しく、脇役として使うと意味が出る資産だと考えています。

投資スタンスについて
投資判断はすべて自己責任
特定の銘柄・商品を強く推奨することはありません
期待リターンよりも「想定外に耐えられるか」を重視します
このブログの内容は、
特定の投資行動を勧誘するものではなく、
判断材料を整理するための情報提供を目的としています。

このブログが役立つ方
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